トリコロール/赤の愛

久しぶりに落ち着いてフランス映画を見れた気がする。とても良い映画だった。全編に溢れ出る優しさと愛。
普段、「フランス映画」と聞くとウヘ〜ってなるくらい苦手意識強い。いつからそうなったんだろう?ゴダールのせいとしか思えない!
映画を見始めた人間ならきっと通るであろうフランス映画、つまりゴダール作品に自分ももちろん手を出した。何本か見たが、結局全部通しで見たのは『勝手にしやがれ』だけかもしれない。

クシシュトフ・キェフロフスキの遺作となった作品。
複雑な構図、赤い色の多様、キャラクター同士の交わりの反復。

自分は判事を中心に見ていた。ヴァレンティーヌの登場によって訪れる彼の心の変化が細かく小道具に反映されている。例えば窓ガラス等。判事のトラウマの払拭、人間に対する再信頼の変化と窓、そしてヴァレンティーヌの立ち位置は連動しているように見えた。
初め、ガラスの閉じた窓から外を見るが、信用しているものは盗聴器から聞こえる本来見えない人間の部分。しかしラストでは壊れてガラスのない窓から外を見つめる。彼の欺瞞は払拭され、明るい希望で終わる。人を信じようと言う基本的な人間の営み。

良かったなあ。
凄く綺麗な明かりに包まれていた。


トリコロール/赤の愛 [DVD]

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