映画

Shall We ダンス?(周防正行、1996)

ペーパーに書くために、ここ数日『Shall We ダンス?』を何遍も見返している。 これ、本当に良い映画。小学生の頃に金曜ロードショーで見たことはあったけど、ここまで良い出来だったとは、当時はわかるまい(当たり前だ)。すっかり、現実を忘れさせてくれ…

風立ちぬ(宮崎駿、2013)

北米でも上映が開始されたので、早速鑑賞してきた。もちろん(とても残念だけど)、吹き替え。庵野氏の声はジョゼフ・ゴードン=レヴィットの柔らかい、でも芯のある声に変わっている。なるべく一定の温度を保った声。私は結構好きです。けど、優しすぎる気…

大いなる幻影(ジャン・ルノワール、1937)

あんまり寝たい気分じゃないなと思って、ずっと借りっぱなしだったルノワールの『大いなる幻影』を見た。で、見終わって、今、10分経ったところ。いや、もう20分経った。 悲しいとか涙が出るとかそういうレベルではなくて、なんだろう。本当にどう表したらい…

A(森達也、1998)

ドキュメンタリー映画のクラスの期末レポートのレジュメ(って日本の大学だと言うのだっけ?)が配られた。ひとつドキュメンタリー映画を選び、それについてのバックグラウンドといくつかの批評をまとめて、自分の議論も書き加える、まあ内容的にはいたって…

『意志の勝利』(レニ・リーフェンシュタール、1933)と、メモ

映画って、制作者も観客も、結局はモラルと美学の葛藤なのかもしれん、と、なんとなく。 例えば『意志の勝利』でのレニ・リーフェンシュタールはモラルよりも美学を優先した。そしてその観客である私は、彼女の美学を感じつつ、しかし「良い映画」とは言えな…

『サンライズ』(F・W・ムルナウ、1927年)

今授業で見て来たばかり。ムルナウの作品は初めて見たけれど、こんなに美しい素晴らしいサイレント映画があったのか、と今かなり興奮しているし、凄く幸せだ。まるで絵本のような始まりで、そうかと思えばいきなり画面がオーバーラップして空間がいっきに飛…

パシフィック・リム(デル・トロ、2013)

土曜日夕方のシネコンで鑑賞。ルーツが同じだと、やはり似た雰囲気の作品になるのだろうか。私は怪獣映画も一番始めのゴジラぐらいしか見ていないし、特撮もギャバンを所々しか見ていないし、ロボットアニメも数本しか見ていないわけだけど、特撮・怪獣・ロ…

エリジウム(ブロムカンプ、2013)

一足お先に『エリジウム』鑑賞。平日のシネコンはひとり客(それも女性の)が多いなあ。『パシフィック・リム』を観た時は週末の夕方だったのでカップルやグループ客が多かった。 以下、ネタバレ(はそんなに無いと思うけれど…)。 ディストピア対ユートピア…

ウォーカバウト 美しき冒険旅行

『アラビアのロレンス』『ドクトル・ジバコ』等のシネマトグラファー、ニコラス・ローグの1971年の作品。 ナラティブの不合理さを掻き消してしまうほど力を持ったカメラワーク!事あるごとに対比、対比、対比!可能な限りの技法をふんだんに使いまくったのは…

ミミノ

悲劇コメディ系映画で有名なグルジア人監督、ゲオルギー・ダネリヤによる1977年の作品。『不思議惑星キン・ザ・ザ』の人です。この『ミミノ』で77年のモスクワ国際映画祭金賞受賞。『ミミノ』は、悲劇コメディというより、哀愁コメディと言ったほうがいいか…

鶴は翔んでゆく

1957年、ミハイル・カラトーゾフのソ連映画。 いわゆる「雪解け」がソ連で始まっている中、フランスではヌーヴェルヴァーグが起こっていた。ゴダールの『勝手にしやがれ』が60年。『鶴は翔んでゆく』はその3年前。 『勝手にしやがれ』は授業でも取り上げたし…

恋する惑星

授業で見た映画もまとめたいけど、今日見たものから書いて行く。ウォン・カーウァイは初めて見た。本来ならばあのアーティスティックなカメラワークに注目すべきなのだろうが、それよりも金城武の初々しい可愛らしさ、トニー・レオンの正統派イケメン具合ば…

憂国

三島由紀夫監督・主演作品。映画というよりも室内劇のような28分間の体験。強烈。絶え間なく流れるトリスタンとイゾルデが章と章を繋ぐ。第三章で彫刻のような肉体を映し、そして第四章の切腹、最終章の麗子の自決。死のイメージと性のイメージが対立し合う…

トリコロール/赤の愛

久しぶりに落ち着いてフランス映画を見れた気がする。とても良い映画だった。全編に溢れ出る優しさと愛。 普段、「フランス映画」と聞くとウヘ〜ってなるくらい苦手意識強い。いつからそうなったんだろう?ゴダールのせいとしか思えない! 映画を見始めた人…

東京家族

旅行中のフライトで見た(ちなみに行ったのはペルー)。 感想を素直に。はっきり言って、私は駄目だった。駄目だと言うのは受け入れられないと言う意味で。2時間半という長い尺の中、見られない映画と言うのなら話は早い。見なきゃ良い。この場合、見られる…

マデイヌサ (2006)

『悲しみのミルク』を撮ったクラウディア・リョサの長編処女作。「これ、極端すぎない?」とは思ったものの(儀式のシーン等)、映画の中の雰囲気は奇妙に明るく、そしてえげつない。サルバドールと言うリマ(都会、外、白人系)からの介入はあるが、映画の…

Even the Rain (2000)

Iciar Bollainと言うスペイン人女性映画監督がボリビアで撮った作品。 多国籍企業間と地元民との水争奪問題、スペインからの撮影隊と地元民、コロンブスの侵略と先住民たち、と、3つのストーリーラインがはっきりと並列しているお陰で、非常に解りやすい内容…

オブローモフの生涯より

いやあ、良かったです。個人的にこういう映画大好きです。 人生にWHYを求めるオブローモフと、HOWを求めるシュトルツ二人の友情。映像も美術も素晴らしいです。建物なんか最高ですね。ゴージャスの極み。 背景には、田舎出身貴族のデカダンス。オブローモフ…

マジッド・マジディ作品2本

柳の木のように (2005)盲目の男が視力を回復したことによって欲深い一面を見せ、自分を支えて来た人間を失ってしまうと言う物語。視力を得たことにより、「自我の自覚」をするようになる。行動もまるで子供のようだ。自分の生きたいようにさせてくれ!と、母…

東京画

縁側に座る笠智衆の姿、撮影当時を懐かしむ厚田雄春氏のインタビューを見ていたら、思わずホロリと来てしまった。 今更のことだが、自分は小津ファンなんだなあ、と再確認。 そしてまたヴェンダースもそうなのだろう。 - - -『東京物語』のオープニングと共…

秋日和

今更見た。 これは「晩春」の母娘版なんですね。何より原節子と司葉子と岡田茉莉子と佐田啓二と佐分利信と北竜二と中村伸郎と沢村貞子と桑野みゆきと三宅邦子と三上真一郎と笠智衆と岩下志麻と菅原通済が一つの作品にいて、圧倒と言うか圧巻と言うか。佐分利…

NO

映画館で見てきました。NOの上映最終日最終回に行ったのだけど、老夫婦でいっぱいだった。1988年ピノチェト政権続投の国民投票が行われ、反対陣営はどうプロモーションしていくか?と言う内容。プロモーションのキーは、テレビ放映だ。ガエル・ガルシア・ベ…

悲しみのミルク

ペルーから来た友人に勧められるがままに。 ゆっくり悲しみが流れ、そしてトンネルを越えついた場所は大きな海。主人公ファウスタとその母、それから庭師ノエとの会話はケチュア語で、従姉妹や叔父、リマ内での会話はスペイン語。先住民と入居者(と言えば良…

第九地区

英語の授業で第九地区を見た。 あらゆることに対しての皮肉と娯楽性を兼ね揃え、政治性メッセージは仄めかす程度に抑え、SF・アクション・ミリオタ・B級好き等様々なファン層の心を掴んでしまった、とにかく良く出来た映画だった。 テストに出るので、覚え書…

アリゾナ・ドリーム

外国人映画監督がアメリカで撮った映画、と言うのはすごく好きだ。『パリ、テキサス』から、『バグダッド・カフェ』、『ギルバート・グレイプ』とか。アメリカ人が撮るアメリカ映画よりもアメリカらしさ(外国人が想像するアメリカ)を感じる。広大な土地、…

ドリー・ベルを覚えてる?

そういえば今年の映画始めはクストリッツァだったな、と、今更記事を書く。 相変わらず(というのも変だな。長編処女作だし)、うまいなあ、ううむと唸る。思春期の少年の心の移り変わりと、当時のボスニアの社会状況をほんとうにうまく並べて撮っている。こ…

フェリーニのアマルコルド

フェリーニは、個人的にはほんとうに大好きなのだが、これこれこう説明しろと言われると全く何も言えない。 少年の日の記憶。2時間、ぼーっと見てしまった。 冬が終わる祭りの綿を掴むシーン、そして最後の大団円。とりあえず今は何も考えず、映像の美しさだ…

愛の亡霊

コリーダ並みのエロスを想像していたので少し拍子抜けしてしまった。典型的な日本的怪談のエフェクト、濡れ場はあるが本編に影響する程ではなく、社会的要素もそこまでは感じない。コリーダが76年で、こちらが78年。随分と趣が変わったなあ、と言う印象。ず…

グッバイ!レーニン

自分が初めて「映画」というものを意識するようになった作品はどれかと聞かれたら、グッバイ!レーニンだろう。 中学二年の頃、母と地元のインディペンデント系映画館へ行き、この映画を見た。シネコン以外の映画館へ行くことが初めてで、ドギマギ緊張してい…

黒猫・白猫

エミール作品にすっかりハマった。 アクが強く、とにかく激しくて陽気。あの空気に毎回やられ、観賞後は踊り出したくなる気分にさせられる。それがクセになって仕方が無い。エミール・クストリッツァ、天才肌の映画監督のひとりだと、間違いなく思う。この作…