引っ越し

https://ontologicalize.wordpress.comこれからこちらに備忘録を付ける事にしました。 あっさりと、長く頻繁に書く事が目標です。

Shall We ダンス?(周防正行、1996)

ペーパーに書くために、ここ数日『Shall We ダンス?』を何遍も見返している。 これ、本当に良い映画。小学生の頃に金曜ロードショーで見たことはあったけど、ここまで良い出来だったとは、当時はわかるまい(当たり前だ)。すっかり、現実を忘れさせてくれ…

風立ちぬ(宮崎駿、2013)

北米でも上映が開始されたので、早速鑑賞してきた。もちろん(とても残念だけど)、吹き替え。庵野氏の声はジョゼフ・ゴードン=レヴィットの柔らかい、でも芯のある声に変わっている。なるべく一定の温度を保った声。私は結構好きです。けど、優しすぎる気…

大いなる幻影(ジャン・ルノワール、1937)

あんまり寝たい気分じゃないなと思って、ずっと借りっぱなしだったルノワールの『大いなる幻影』を見た。で、見終わって、今、10分経ったところ。いや、もう20分経った。 悲しいとか涙が出るとかそういうレベルではなくて、なんだろう。本当にどう表したらい…

映画理論の中へ

今回取っている映画理論のクラスが一番厄介だ。思った通りである。 毎週別の方向から書かれた映画論を一本づつ、決して長くはない量なのだけど(しかし短くもなく)、読むのにも時間がかかり、さらに理解するのに倍ぐらいかかっている。 課題と言えば特にな…

寺山修司著作集<4>(寺山修司)

それもまた大学の図書館から、寺山修司の著作集<4>を借りてきた。 しかし、どうしてこんなに日本文学(しかも原語で)が揃っているのか。前の記事で述べた安部公房全集から、三島由紀夫から、果ては古今和歌集や万葉集の現代語訳、日本語言語学の本から何…

死に急ぐ鯨たち(安部公房)

大学の図書館から、安部公房を借りてきた。夏休み中に公房全集の第一巻を読んで以来なので、結構久しぶりだ(安部公房はかなりの頻度で読み返す作家なので)。良いな、と思う。ずっと良いなと思ってきたし、今も良いなと思っている。高校生の頃は怖がりなが…

サイレント映画とその音楽

随分と書かないでいたようだ。まさか最後の記事が10月末だったなんて!自分でも驚いている。 秋学期は無事に終わったものの(成績も別段悪くなかった)、あまりの忙しさに、ほとんど記憶が無い。必死すぎるのも駄目だな。真面目に取り組んだけれど短期的でし…

A(森達也、1998)

ドキュメンタリー映画のクラスの期末レポートのレジュメ(って日本の大学だと言うのだっけ?)が配られた。ひとつドキュメンタリー映画を選び、それについてのバックグラウンドといくつかの批評をまとめて、自分の議論も書き加える、まあ内容的にはいたって…

『意志の勝利』(レニ・リーフェンシュタール、1933)と、メモ

映画って、制作者も観客も、結局はモラルと美学の葛藤なのかもしれん、と、なんとなく。 例えば『意志の勝利』でのレニ・リーフェンシュタールはモラルよりも美学を優先した。そしてその観客である私は、彼女の美学を感じつつ、しかし「良い映画」とは言えな…

『サンライズ』(F・W・ムルナウ、1927年)

今授業で見て来たばかり。ムルナウの作品は初めて見たけれど、こんなに美しい素晴らしいサイレント映画があったのか、と今かなり興奮しているし、凄く幸せだ。まるで絵本のような始まりで、そうかと思えばいきなり画面がオーバーラップして空間がいっきに飛…

ドキュメンタリー映画の授業で見た作品

『極北のナヌーク』(ロバート・フラハティ、1922) まだまだサイレント時代だったのでインタータイトルに頼らざるを得ないが、そのせいで物語性も増して、詩的表現になっている。イヌイットの生活を映し出しつつ、観客が求めているイヌイット像を作り上げて…

雑記:10月4日

うおお、やっぱり時間ない! 先々週はロバート・フラハティの『極北のナヌーク』とデイビッド・ラシャペルの『ライズ』についてのペーパー(全然つまらない内容のペーパーが仕上がったけど成績は良かった)、今週はジガ・ヴェルトフの『カメラを持った男』と…

映画学:ドキュメンタリー映画 <ドキュメンタリーの始まり>

覚え書き。 ちなみに教科書はビル・ニコルズの『ドキュメンタリー入門 (2010)』を使っています。1826年にニセフォール・ニエプスが写真を発明、1839年にはルイ・ダゲールによるダゲレオタイプ、1840年には複製可能な写真、1867年にゾーエトロープ、1888年に…

雑記:9月6日

4日から秋学期がスタート。今期は人類学から3つ(人類考古学、形質人類学、文化社会人類学)、映画学から2つ(映画史I、ドキュメンタリー映画)。 結構あっぷあっぷなスケジュールになりそうな予感です。シラバスが出たのでテストの予定を手帳に書き込んでい…

パシフィック・リム(デル・トロ、2013)

土曜日夕方のシネコンで鑑賞。ルーツが同じだと、やはり似た雰囲気の作品になるのだろうか。私は怪獣映画も一番始めのゴジラぐらいしか見ていないし、特撮もギャバンを所々しか見ていないし、ロボットアニメも数本しか見ていないわけだけど、特撮・怪獣・ロ…

エリジウム(ブロムカンプ、2013)

一足お先に『エリジウム』鑑賞。平日のシネコンはひとり客(それも女性の)が多いなあ。『パシフィック・リム』を観た時は週末の夕方だったのでカップルやグループ客が多かった。 以下、ネタバレ(はそんなに無いと思うけれど…)。 ディストピア対ユートピア…

雑記

先週で夏学期が終わった。映画学入門も完了。成績は良かったです。 新学期は9月の頭からなので2週間ずっと映画見て本読むかーと色々借りて来ているんですが(アンドレ・バザンとか、認知派映画理論の本とか、理論入門の本とか、借りましたよ、映画学徒らしく…

「アカデミック」な英語

『ラン・ローラ・ラン』について書いた5ページ程度のペーパーが返って来た。ローラの一回目のシナリオからラストにかけての映画内時間と実際の連続する時間への移行が編集によってどのように描かれているか、みたいなことについて書いた。成績はA-、良いほう…

ウォーカバウト 美しき冒険旅行

『アラビアのロレンス』『ドクトル・ジバコ』等のシネマトグラファー、ニコラス・ローグの1971年の作品。 ナラティブの不合理さを掻き消してしまうほど力を持ったカメラワーク!事あるごとに対比、対比、対比!可能な限りの技法をふんだんに使いまくったのは…

ミミノ

悲劇コメディ系映画で有名なグルジア人監督、ゲオルギー・ダネリヤによる1977年の作品。『不思議惑星キン・ザ・ザ』の人です。この『ミミノ』で77年のモスクワ国際映画祭金賞受賞。『ミミノ』は、悲劇コメディというより、哀愁コメディと言ったほうがいいか…

鶴は翔んでゆく

1957年、ミハイル・カラトーゾフのソ連映画。 いわゆる「雪解け」がソ連で始まっている中、フランスではヌーヴェルヴァーグが起こっていた。ゴダールの『勝手にしやがれ』が60年。『鶴は翔んでゆく』はその3年前。 『勝手にしやがれ』は授業でも取り上げたし…

恋する惑星

授業で見た映画もまとめたいけど、今日見たものから書いて行く。ウォン・カーウァイは初めて見た。本来ならばあのアーティスティックなカメラワークに注目すべきなのだろうが、それよりも金城武の初々しい可愛らしさ、トニー・レオンの正統派イケメン具合ば…

映画って!

映画を学問として勉強し始めて、さらに映画が好きになった。 映画が作り上げる擬似リアリティの世界はつまりイリュージョンなのだが、しかしリアリティの一部だという事実。 そしてそのリアリティは可能な限りのテクノロジー、工夫によって構成されていると…

憂国

三島由紀夫監督・主演作品。映画というよりも室内劇のような28分間の体験。強烈。絶え間なく流れるトリスタンとイゾルデが章と章を繋ぐ。第三章で彫刻のような肉体を映し、そして第四章の切腹、最終章の麗子の自決。死のイメージと性のイメージが対立し合う…

映画学入門:ソビエトモンタージュ

・知的モンタージュ(intellectual montage): ・物語ショットと全く別のショットを繋ぐことによって第三の意味を作り上げる ・ひとつのショットは次のショットと並べることによって意味を持つ ・ひとつのショットだけでは本質的な意味を充分になさない・エ…

映画学入門:ソビエトモンタージュ

・知的モンタージュ(intellectual montage): ・物語ショットと全く別のショットを繋ぐことによって第三の意味を作り上げる ・ひとつのショットは次のショットと並べることによって意味を持つ ・ひとつのショットだけでは本質的な意味を充分になさない・エ…

映画学入門:編集

・コンティニュイティエディティング(continuity editing): ・または「不過視編集(invisible editing)」 ・場面から場面の場所や時間の変化をスムーズに伝える時に使われる編集法: ・フェードイン/アウト ・ディゾルブ(現在の場面が消えつつ次の場面…

映画学入門:照明

・照明の比率: ・キーライト—高い比率、強いコントラストを生むメインの照明 ・フィルライト—比率を下げる、キーライトをサポートする照明 ・ハイキー—フィルライトを強くした状態 ・ローキー—フィルライトを少なくした状態・照明の質: ・ハードライト—被…

映画とは何かII

映画とは何か、映画は何を見て理解すれば良いのか? 何をもって映画を映画とするのか?今のところ、シネマトグラフィ(映画撮影技術)が一番じゃないかな、と思えています。 こんなにシネマトグラフィが情報を持っている何て考えても居なかった。今まで映画…