陋巷に在り儒の巻

泣き虫弱虫諸葛孔明』、『墨攻』、そして『ピュタゴラスの旅』を今のところ読み終えたので、酒見賢一氏がどういう作家なのかということは、理解したはずだった。
史実をもとに、彼自身による大胆不敵とも言える解釈を加えて小説を書きあげる、そういう作家なのだ。
だから、『陋巷に在り』を手に取った時、帯に「サイキック孔子伝!」とデカく書いてあっても、特に不思議な感じはしなかった。

孔子の一番弟子とも言われた、顔回孔子からも愛され、賢かったが、陋巷(狭苦しい路地裏)に住み続け、生涯に渡って質素な生活をし続けた人物だそうだ。
と、ここまでは事実である。
この本での顔回は、顔儒という呪術集団の後継者であり、類まれな儒の秀才として君臨した。普段は飄々としているようだが、いざとなった時には素晴らしい力を発揮すると言う、まるでヒーローのようだ。
ここで言う儒とは、サイキック的なものになっている。帯に書いてあった「サイキック孔子伝!」というのはやはり間違った文では無かったのだ。

第1巻は、陽虎との戦いを目前にして終わっている。
全部で13巻あるというので、なるべく年内に読み終えたいものだ。


陋巷に在り〈1〉儒の巻 (新潮文庫)

陋巷に在り〈1〉儒の巻 (新潮文庫)