黒猫・白猫

エミール作品にすっかりハマった。
アクが強く、とにかく激しくて陽気。あの空気に毎回やられ、観賞後は踊り出したくなる気分にさせられる。それがクセになって仕方が無い。

エミール・クストリッツァ、天才肌の映画監督のひとりだと、間違いなく思う。

この作品は『アンダーグラウンド』の次の作品で、前作とは違って、シリアス・政治的要素は徹底排除されている。舞台はドナウ川のほとり。ヤク中マフィア・ダダンとどうしようもない賭け好きの嘘つき・マトゥコ、そしてマトゥコの父親・ザーリェとゴッドファーザーのグルガというふたつの友情。マトゥコの純粋無垢な息子・ザーレ(非常にクストリッツァ的キャラクターだ)とイダの恋愛、無理矢理結婚させられそうになったダダンの妹・アフロディータと運命の相手を捜して旅するゴッドファーザーの孫の恋愛(後者は特に重要で無し)。列車強盗、結婚式のいざこざが大きな出来事。そしてたびたび現れる黒猫と白猫。

アンダーグラウンド』とは違い、音楽を担当したのはゴラン・ブレゴヴィッチではなく、エミール・クストリッツァ率いるNo Smoking Orchestra Band。しかし騒がしく走り回る音楽隊(今回は木に縛り付けられていた)は相変わらず、陽気。

どのキャラクターもとにかく底抜けに明るい。まさに生きるために生きるというか、生きる事に後など先などない!という感じ。パワー全開の渾身のコメディ。監督の映画に対する愛が溢れて止まない。

猫たちは全部で8回程登場する。どの場面も何が起こっているかを目で追っているだけ。結婚式にのみならず、猫たちはなんでも知っている、立会人だということなのか。

まあ、あまり深く考えまい。
とにかく愉しい。クストリッツァ、最高だ。
大量の動物、結婚式のシーン、激しく動く音楽隊。


黒猫・白猫 [DVD]

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