ミミノ

悲劇コメディ系映画で有名なグルジア人監督、ゲオルギー・ダネリヤによる1977年の作品。『不思議惑星キン・ザ・ザ』の人です。この『ミミノ』で77年のモスクワ国際映画祭金賞受賞。

『ミミノ』は、悲劇コメディというより、哀愁コメディと言ったほうがいいかもしれない。
wikipediaにページが無いのであっさりとあらすじを書くと、ローカル航空会社に勤めるグルジア人のミミノ(グルジア語で鷹の意)は、将来大きい航空会社の国際線で飛ぶことを目標にしていて、目標達成のためにモスクワへ向かう。モスクワ市内のホテルで同室となったリュービク(と聞こえたが、ルービクかもしれない)と言うアルメニア人と知り合い、ドタバタと出来事に巻き込まれつつ友情を育む。果たして、ミミノの運命は!?

と言う書き方が好きではないのでオチまで書きますと、リュービクとの冒険の後、ふとしたきっかけで大手に再就職し、国際線で飛ぶようになる。が、結局モスクワの都会には馴染めず、グルジアの小さな村に戻ります。
そんな、哀愁漂う(東)ヨーロッパの映画です。

グルジア人とアルメニア人の文化の違いや、ミミノの再就職のきっかけ(キン・ザ・ザに出たおじさん)が勘違いから始まったりと、クスクス笑えるような映画です。特に文化の違いらへんは強調されていた。
ミミノの郷愁感が募るたびグルジアの素朴な風景が挿入される。やっぱり皆、背伸びして都会に住むより自分に合ったところに住んだほうが生きやすいよな〜と思いつつ見ていた。

一番面白かったのは、ミミノがまだ小さな航空会社に勤め、ヘリコプターでグルジアの村にロシア語の映画フイルムを持って行ったところ。ソ連とは言え第一原語はグルジア語なので、村人を集めて上映する中ミミノが同時通訳をしなければならない。そのため、映画内の女性も男性も全員ミミノひとりが吹き替えをする。
で、映画の前半はグルジアのシーンが多く、もちろんそこではグルジア語。なのでロシア語の吹き替えが付いているのだが、それがひとりでなされているのだ。それこそロシア語を通訳するミミノのように。
そういう再帰的なところをあっさり挿入するのが心地よく感じる。

ダネリヤは、クスっと笑えるので気負わないで観られて楽しくなれるなあ。

英字幕ですが、コチラで観られます。字幕を読まなくても充分楽しめると思います。

ちなみに、ミミノがかぶっているツバの広いハンチングはグルジアでよくある帽子だそう。