『サンライズ』(F・W・ムルナウ、1927年)

今授業で見て来たばかり。ムルナウの作品は初めて見たけれど、こんなに美しい素晴らしいサイレント映画があったのか、と今かなり興奮しているし、凄く幸せだ。まるで絵本のような始まりで、そうかと思えばいきなり画面がオーバーラップして空間がいっきに飛ぶ。カメラワークも凄いけれど、画面の作り方が本当に綺麗!汽車と客船のショットのあと、初めて村に付いた船の中から見たショット。フレームインフレームがゲートのように見えて、村へというよりこの映画世界へようこそ、楽しんでいってねと言われているような気がした。前面に何かを置いたりと、空間の深さも強く感じる。
前半の妻を殺そうとするまでの緊迫感が嘘みたいに、路面電車にゆられて町に行く間にすっかり消えてしまう(この路面電車の中からのシークエンスもとても綺麗)。都会へ着いてからはもうほとんどハリウッド・コメディ。主人公夫婦たちだけではなく床屋や写真屋の主人など、かなりのオーバーアクション。
冒頭とラスト付近の、湖のシーンが本当に美しいんだよなあ。都会のシーンはあくまで動(でもカメラは静)で、田舎のシーンは静(カメラは動く動く)。田舎の部分をどれだけ気合いを入れて撮っていたのかがよくわかる。

字幕もあまり多くなくて、とにかく映像重視の映画なので自分もとても気に入ってしまったんだと思う。ドイツ表現主義作家がハリウッドに招かれて撮った作品。ハリウッドの資本と言うのはやはり一種の成功要因だな、と感じた。

サンライズ クリティカル・エディション [DVD]

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いやー、本当に本当に綺麗だった!