マジッド・マジディ作品2本

柳の木のように (2005)

盲目の男が視力を回復したことによって欲深い一面を見せ、自分を支えて来た人間を失ってしまうと言う物語。

視力を得たことにより、「自我の自覚」をするようになる。行動もまるで子供のようだ。自分の生きたいようにさせてくれ!と、母親に対して理不尽なヒステリーを起こす。
手術後、視力の回復に気付き夜の病院内を歩き回るカットはちょっとホラー、と言うか、気味が悪い。
映像はやはり美しく、雨のシーンがとても多かった。


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少女の髪どめ (2001)

観賞後に訪れるじんわりとした暖かい感動。キアロスタミがイランの小津ならば、マジディはイランの山田洋次かも、等と馬鹿みたいなことを考えた。

ティーフが行ったことは、全て彼の独りよがりで、押しつけの一方的な愛情だ。それなのに感動へ繋がるのは、バラン一家を含むアフガン難民たちの冷厳な状況、ラティーフの純直な成長を、詩的映像とともに映しているからだろうか。アフガン難民の暮らしぶり、バランの冬の川の中で石を拾い上げる仕事を目にし、涙を流した少年は、自分のIDカードと言う必要不可欠なものを売ってまで献身する。あんまりひたむきな姿なので、疑問に思う余地もないのだ。

そしておそらく誰しもが思うであろうが、ラストの青緑色のブルカを被るあのカット!
素晴らしかったです。思わずドキッとしました。
あのシーンはその前の流れから、足跡を見つめ雨が振り出して映画が終わるまで、とにかく美しい。
マジディは大人を撮るよりも子供を撮ったほうが良いんじゃないんだろうか…。


少女の髪どめ [DVD]

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