映画

ハロルドとモード

やっと今年になってDVD化されたという。 今まで名前は聞いた事はあったが、まさかビデオ化すらされていなかったとは。見られないこととカルト的人気は連動している気がする。とにかく。これは映画史上一番年の差があるカップルではなかろうか。ロリータです…

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

カウリスマキの笑いは、ゲラゲラと言うよりニヤニヤ、だ。 オープニングからラストまで、ずっとニヤニヤしてしまう。やめてくれ、とも思う。そう真面目な顔でしらっと面白いことをしでかさないでくれ、ニヤニヤがとまらなくなってしまう!と。「アメリカに行…

東京暮色

いつもの明朗さはどこへやら。しかし人工中絶後帰宅し、子供のカットを見せるところは冷酷で、小津らしいと思った。 この作品ばかりは、周吉(笠智衆)の孤独より、明子(有馬稲子)の不幸さに目がいってしまう。そのくらい不幸なのだ。一度も笑顔を見せず、…

8 1/2

台詞の洪水。あまりにも台詞が多く、英字幕で見たためついていけてないので半分以上理解していないかも。しかし、ラストは鳥肌が立った。混沌からの解放、大団円にふさわしいフィナーレ、そして有無を言わさぬ幕切れ。夢と現実の交差、同化。映画的には破綻…

細雪

とにかく美しく、綺麗。船場言葉と呼ばれる上流大阪弁、そして四人の名女優たち。幕間もわかりやすく全体的な構成も明快。回想シーンはモノクロから始まりカラーに変わるので、通してみていて迷うことはない。ロケーションも素晴らしく、印象に残るカットが…

永遠と一日

ブルーノ・ガンツが出ている『ベルリン・天使の詩』がとても好きだった。 あれを見たとき、とても前向きな気持ちになり、涙が出た。『永遠と一日』。現在と記憶、歴史を旅する、これもロードムービーだろう。 病気を患う詩人・アレクサンドルと難民の少年。…

雨月物語

テーマはとても質素なものだと思った。 身の丈に合った生活を。決して欲張らず、誠実に、真面目に。 ただ、映像がとにかく美しいのだ。若狭(京マチ子)の纏う雰囲気はとても冷え冷えとしていて、なんだか地獄にいるみたいだ(吐く息も白い)。こういう雰囲…

フェリーニの『道』を見たとき、安易にもトリアーの『奇跡の海』を思い出してしまった。神に仕える者は常に純粋な者でなければならない。 別に対比したいわけではないが、どちらも無垢な愛を具現化したように感じる。ザンパノがジェルソミーナを置き去りにす…

映画は映画だ

久しぶりに韓国映画を見たなあ、と思ったが、果たして私はいままでまともに韓国映画を見たことがあっただろうか? そんなことはどうでもいいのだが。映画は映画だ、なんていうタイトルなので、もっとメタフィクショナル的かと思いきや(いや十分メタってます…

アンダーグラウンド

地元の小さな映画館でリバイバル上映をしていたので、折角だし、と思い、見に行った。 150人程のシアターに、10人もいなかった。オープニングの音楽から、ずっと引き込まれてしまった。久しぶりに力強い作品を見た気がする。とにかくすごい。やはり頭に残る…

兄とその妹

これが、戦前か?と言うのが第一印象。 桑野通子が着るコート、朝食にトースト、ピクニックに行ってコーヒーを飲む。それから銀座で買ったというアイスクリームなんかも。 富士山を手に乗せるシーンなんか、とてもオシャレだ。 そう、すごくオシャレな映画だ…

海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン

わたしはギャバン世代の人間ではない。生まれた頃には既にメタルヒーローシリーズすら終わっていた。 例えば、今回のこの映画を、あの頃子供だった世代(30代から40代か)に見せたら、多分、おそらく、相当感動するのではないかと思う。 世代ではないわたし…

ダーティーハリー

銃口のカットがかっこいい。そしてアンチヒロイズムな主人公にどうしても惹かれてしまうのだ。ラストのハリーがバッヂを投げるというロングショット、あの終わり方もアメリカン・ニューシネマ的で素晴らしい。70年代特有のアメリカ情勢の不安定さと法律・社…

(ハル)

いま見ると、ダイヤルアップの音やチャット画面が懐かしく感じてしまう。 わかりやすく、簡潔的で良かった。 ホシもハルも、お互いのメールを通じて前に進もうとする。 シンプルだけど好感のもてる作品だった。やはり印象に残るのは新幹線越しの出会いか。作…

ベルリン 天使の詩

寓話的な詩と、美しい映像、優しい音楽。とても哲学的でロマンチックな作品だった。 白黒時の陰影の具合が何とも素敵だ。はっきりしていて、非常に美しい。 人間になりたい天使と、天使の宿命を全うすべきだという天使と、人間になる事を誘う元・天使。それ…

最近見た映画

・のだめカンタービレ 最終楽章 前編&後編 原作を読まなかったら消化不良な部分がいくらかあるかもしれない。しかし音楽は素晴らしいし、音楽を聞くために映画を見たわけだし。原作で言っていた、のだめの飛んだり跳ねたりするピアノの音はつまりこういうこ…

晩春

小津安二郎の、初めて父と嫁入り前の娘をテーマにした映画。 今まで見て来た彼の作品はまだ3作しかないが(東京物語、秋刀魚の味、彼岸花)、一番悲しいストーリーで、一番悲しい終わり方だったように感じた。どこかで父・周吉と娘・紀子の間に性的コンプレ…

蘇える金狼

言わずと知れた日本映画史上に残るハードボイルド映画の名作。 を、今更見た。 あまりハードボイルドな映画を見て来なかったので、松田優作も『家族ゲーム』に出ていた記憶しかなかったのだが。「ジュブレ・シャンベルタン。2001年ものだ。ぼくの友人のナポ…

告白

ちょっと演出がくどい。 そのせいで長いコマーシャルのように感じた。 章毎分けているので、わかり難いと言う事は無い。メインテーマと重なって、好き嫌いが激しく別れる映画ではないか・・・と思う。 例えばこの映画を見ることによって青少年犯罪が増える!…

グーグーだって猫である

全体的な印象は、可もなく不可もなく、というところ。 最初から最後までファンタジー的、マンガ的な印象を残すが、特筆すべき余韻と言うものがない。 突拍子もない演出を入れるのもどうかと思う。日本映画的王道プロット(日常→事件→絶望→再生の流れ)はもう…

秋刀魚の味

彼岸花と秋刀魚の味、どちらも小津安二郎の同テーマに基づく作品だが、このふたつのうちどちらのほうが評価が高いのだろう、と考える。個人的には秋刀魚の味の方が好きだ。 わかりやすくもあるし、何よりカット毎ドキッとさせられるようなシーンが多い。 (…