映画学入門:シネマトグラフィIII(カメラの移動)

・制約がある動き: ・パン—水平に動く(右か左) ・スイッシュパン—素早く水平に移動、残像が発生する ・ティルト(傾き)—垂直に動く(上か下) ・トラッキング/ドリーショット—トラック上にカメラ台を設置して前後左右の移動 ・クレーンショット・制約…

映画学入門:シネマトグラフィII

・フォーカス: ・ディープフォーカス—画面内の全てのピントが合った状態、観客に視点を委ねられる ・シャローフォーカス—レンズによる効果、背景の焦点は関係ない ・ラックフォーカス(rack focus)—同ショット内での焦点の変化・フィルムストック(映画用…

映画学入門:シネマトグラフィ

・基本的な映画(フィルム)の構造: ・フレーム—主なものは1秒24コマ ・ショット—編集と編集の間 ・シーン—連続したアクション ・時間、空間、アクションがあればそれはシーン ・シークエンス—連続した関連のあるシーン・ショットの種類: ・一時の期間 ・…

トリコロール/赤の愛

久しぶりに落ち着いてフランス映画を見れた気がする。とても良い映画だった。全編に溢れ出る優しさと愛。 普段、「フランス映画」と聞くとウヘ〜ってなるくらい苦手意識強い。いつからそうなったんだろう?ゴダールのせいとしか思えない! 映画を見始めた人…

映画学入門:ミザンセーヌ

・ミザンセーヌとは セッティング(空間)、衣装、メイクアップ、小道具、ライト等映画内で目に見えるもの。 カメラが回る前に全てセットアップされているもの。 シネマトグラフィも含まれることもある。・セッティング: ・ナチュラル・ロケーション=安い…

映画学入門

大学の授業をまとめようと思ったので、新しいカテゴリー「映画学」(そのまんま)を作りました。自分用のメモにしつつ、映画学がどんな授業なのかを書いて行こうと思います。 ちなみに現在夏学期の映画学入門を取っているため、本来4ヶ月で終わらせるべき内…

東京家族

旅行中のフライトで見た(ちなみに行ったのはペルー)。 感想を素直に。はっきり言って、私は駄目だった。駄目だと言うのは受け入れられないと言う意味で。2時間半という長い尺の中、見られない映画と言うのなら話は早い。見なきゃ良い。この場合、見られる…

マデイヌサ (2006)

『悲しみのミルク』を撮ったクラウディア・リョサの長編処女作。「これ、極端すぎない?」とは思ったものの(儀式のシーン等)、映画の中の雰囲気は奇妙に明るく、そしてえげつない。サルバドールと言うリマ(都会、外、白人系)からの介入はあるが、映画の…

Even the Rain (2000)

Iciar Bollainと言うスペイン人女性映画監督がボリビアで撮った作品。 多国籍企業間と地元民との水争奪問題、スペインからの撮影隊と地元民、コロンブスの侵略と先住民たち、と、3つのストーリーラインがはっきりと並列しているお陰で、非常に解りやすい内容…

オブローモフの生涯より

いやあ、良かったです。個人的にこういう映画大好きです。 人生にWHYを求めるオブローモフと、HOWを求めるシュトルツ二人の友情。映像も美術も素晴らしいです。建物なんか最高ですね。ゴージャスの極み。 背景には、田舎出身貴族のデカダンス。オブローモフ…

マジッド・マジディ作品2本

柳の木のように (2005)盲目の男が視力を回復したことによって欲深い一面を見せ、自分を支えて来た人間を失ってしまうと言う物語。視力を得たことにより、「自我の自覚」をするようになる。行動もまるで子供のようだ。自分の生きたいようにさせてくれ!と、母…

東京画

縁側に座る笠智衆の姿、撮影当時を懐かしむ厚田雄春氏のインタビューを見ていたら、思わずホロリと来てしまった。 今更のことだが、自分は小津ファンなんだなあ、と再確認。 そしてまたヴェンダースもそうなのだろう。 - - -『東京物語』のオープニングと共…

秋日和

今更見た。 これは「晩春」の母娘版なんですね。何より原節子と司葉子と岡田茉莉子と佐田啓二と佐分利信と北竜二と中村伸郎と沢村貞子と桑野みゆきと三宅邦子と三上真一郎と笠智衆と岩下志麻と菅原通済が一つの作品にいて、圧倒と言うか圧巻と言うか。佐分利…

NO

映画館で見てきました。NOの上映最終日最終回に行ったのだけど、老夫婦でいっぱいだった。1988年ピノチェト政権続投の国民投票が行われ、反対陣営はどうプロモーションしていくか?と言う内容。プロモーションのキーは、テレビ放映だ。ガエル・ガルシア・ベ…

悲しみのミルク

ペルーから来た友人に勧められるがままに。 ゆっくり悲しみが流れ、そしてトンネルを越えついた場所は大きな海。主人公ファウスタとその母、それから庭師ノエとの会話はケチュア語で、従姉妹や叔父、リマ内での会話はスペイン語。先住民と入居者(と言えば良…

第九地区

英語の授業で第九地区を見た。 あらゆることに対しての皮肉と娯楽性を兼ね揃え、政治性メッセージは仄めかす程度に抑え、SF・アクション・ミリオタ・B級好き等様々なファン層の心を掴んでしまった、とにかく良く出来た映画だった。 テストに出るので、覚え書…

映画とは何か

ブレインストーミングのお時間です。よく、映画って一体なんだろう、と考える。 どうして映画を見るのだろうか、どうして映画が好きなんだろうか、どうしてオスカーを取ったあの作品は私には受け入れられなかったんだろうか、という自分視点の疑問と、映画を…

アリゾナ・ドリーム

外国人映画監督がアメリカで撮った映画、と言うのはすごく好きだ。『パリ、テキサス』から、『バグダッド・カフェ』、『ギルバート・グレイプ』とか。アメリカ人が撮るアメリカ映画よりもアメリカらしさ(外国人が想像するアメリカ)を感じる。広大な土地、…

ドリー・ベルを覚えてる?

そういえば今年の映画始めはクストリッツァだったな、と、今更記事を書く。 相変わらず(というのも変だな。長編処女作だし)、うまいなあ、ううむと唸る。思春期の少年の心の移り変わりと、当時のボスニアの社会状況をほんとうにうまく並べて撮っている。こ…

フェリーニのアマルコルド

フェリーニは、個人的にはほんとうに大好きなのだが、これこれこう説明しろと言われると全く何も言えない。 少年の日の記憶。2時間、ぼーっと見てしまった。 冬が終わる祭りの綿を掴むシーン、そして最後の大団円。とりあえず今は何も考えず、映像の美しさだ…

愛の亡霊

コリーダ並みのエロスを想像していたので少し拍子抜けしてしまった。典型的な日本的怪談のエフェクト、濡れ場はあるが本編に影響する程ではなく、社会的要素もそこまでは感じない。コリーダが76年で、こちらが78年。随分と趣が変わったなあ、と言う印象。ず…

グッバイ!レーニン

自分が初めて「映画」というものを意識するようになった作品はどれかと聞かれたら、グッバイ!レーニンだろう。 中学二年の頃、母と地元のインディペンデント系映画館へ行き、この映画を見た。シネコン以外の映画館へ行くことが初めてで、ドギマギ緊張してい…

黒猫・白猫

エミール作品にすっかりハマった。 アクが強く、とにかく激しくて陽気。あの空気に毎回やられ、観賞後は踊り出したくなる気分にさせられる。それがクセになって仕方が無い。エミール・クストリッツァ、天才肌の映画監督のひとりだと、間違いなく思う。この作…

ハロルドとモード

やっと今年になってDVD化されたという。 今まで名前は聞いた事はあったが、まさかビデオ化すらされていなかったとは。見られないこととカルト的人気は連動している気がする。とにかく。これは映画史上一番年の差があるカップルではなかろうか。ロリータです…

深夜特急〜劇的紀行〜

日本のドラマ、と言うより、ドラマ自体ほとんど見ない。日本のドラマは基本的に非常に安っぽい(ような気がする)し、役者もあまり上手ではない(ような気がする)からだ。深夜特急は元から本を読んでいて、おそらく読んだほとんどの人間が感化されたように…

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

カウリスマキの笑いは、ゲラゲラと言うよりニヤニヤ、だ。 オープニングからラストまで、ずっとニヤニヤしてしまう。やめてくれ、とも思う。そう真面目な顔でしらっと面白いことをしでかさないでくれ、ニヤニヤがとまらなくなってしまう!と。「アメリカに行…

東京暮色

いつもの明朗さはどこへやら。しかし人工中絶後帰宅し、子供のカットを見せるところは冷酷で、小津らしいと思った。 この作品ばかりは、周吉(笠智衆)の孤独より、明子(有馬稲子)の不幸さに目がいってしまう。そのくらい不幸なのだ。一度も笑顔を見せず、…

8 1/2

台詞の洪水。あまりにも台詞が多く、英字幕で見たためついていけてないので半分以上理解していないかも。しかし、ラストは鳥肌が立った。混沌からの解放、大団円にふさわしいフィナーレ、そして有無を言わさぬ幕切れ。夢と現実の交差、同化。映画的には破綻…

細雪

とにかく美しく、綺麗。船場言葉と呼ばれる上流大阪弁、そして四人の名女優たち。幕間もわかりやすく全体的な構成も明快。回想シーンはモノクロから始まりカラーに変わるので、通してみていて迷うことはない。ロケーションも素晴らしく、印象に残るカットが…

永遠と一日

ブルーノ・ガンツが出ている『ベルリン・天使の詩』がとても好きだった。 あれを見たとき、とても前向きな気持ちになり、涙が出た。『永遠と一日』。現在と記憶、歴史を旅する、これもロードムービーだろう。 病気を患う詩人・アレクサンドルと難民の少年。…